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ポタフェスに出展しに広島へ行ったら、広島に圧倒された。

  • 2 日前
  • 読了時間: 9分

3月21日、ポタフェス広島に出展してきました。


Iida Pianoとしては広島初出展です。


本来なら、ここで展示製品の話をするべきでしょう。

AB 92がどうだったとか、Apx MEの反応がどうだったとか、そういう話から入るのがたぶん正しい。


でも、今回は無理でした。先に書かなければいけないものがあります。


広島に圧倒されたんです。マツダも、潜水艦も。




01 広島に行くなら、マツダと呉でしょう


今回、広島へは車で行きました。荷物もあるので。

10時間かかりましたが、せっかくならと前日入りして少し回ることにしました。


広島といえば何だろうと考えたとき、かなり早い段階で答えが出ていました。



「マツダと呉でしょう。」



かなり率直な発想ですが、でも実際そう思ったのだから仕方ありません。せっかく広島まで行くのなら、その土地の産業や空気に直結しているものを見たい。そう考えると、当然の帰結。


深夜、新東名、新名神を移動し、朝6時頃に広島市内入り。

そのままの勢いで午前中はマツダミュージアムへ向かいました。


見学は本社集合で、そこからシャトルバスで移動します。市内を移動するのかと思っていたら、バスがしばらくマツダの敷地の中を走り続ける。

あれ、まだマツダの中にいる。まだいる。


途中で大きな橋を渡りました。


左:マツダの原点、1931年製オート三輪「マツダ号」。右:歴代マツダ車が並ぶ。


東洋大橋という名前で、マツダが所有している橋です。旧社名「東洋工業」から名付けられた全長560mの私道橋で、一般車両は通行不可。完成した1965年当時は、企業が持つ橋としては世界最大だったそうです。1日に約12,000台が通行しているという。


橋を渡りながら、規模感がおかしくなってきました。


敷地面積は223万平方メートル、海岸沿いに全長7km。

開発から製造、船積みまでその中で完結できる構造になっています。


実はマツダ本社到着前に車で市内を走っていたとき、市内の高速道路から大きな船積み場に車がずらっと並ぶ光景が見えて「あれがマツダかな?」と話していたんですが、バスで敷地内を移動しながら、あの船積み場もこの工場も運河の向こうの本社も全部つながっているのだと気づきました。点ではなく、面だった。


我々の地元静岡にもトヨタの東富士研究所や東富士工場(2020年閉鎖)があって、そこもかなり大きい施設です。でもマツダで受けた印象は少し質が違いました。大きな工場を見ているというより、街の構造の中に工場が組み込まれているものを見る感じ。


1991年ルマン24時間総合優勝車、787B。


ミュージアムに入ってすぐ、映像が流れました。

「いつの時代もチャレンジすることを恐れないマツダスピリッツの原点」というテーマの映像で、これがかなりよかった。単なる会社紹介ではなく、広島の歴史と産業を背景に、マツダという会社がどういう姿勢でものづくりをしてきたのか、その芯のようなものを見せてくる内容です。さっきまでバスで感じていた「この会社の規模感のおかしさ」が、映像でようやく文脈としてつながってくる感じがしました。


そのあとで787Bを見ると、もう単なる名車じゃないです。歴代のマツダ車が並ぶ一角もありました。コンセプトカーも、「Bike by KODO concept」という自転車も、「Sofa by KODO concept」というソファまである。


左:MAZDA RX-VISION(2015)。右:MAZDA VISION COUPE(2017)。国内ではマツダミュージアムでのみ見ることができる。


「Bike by KODO concept」と「Sofa by KODO concept」。マツダのデザインテーマ「魂動」を車以外で表現したアートワーク。


自動車会社の展示を見に来て、自転車とソファでちょっと上がるとは思いませんでした。でも上がる。そこが面白い。マツダのデザインテーマ「魂動(こどう)」を車の外にまで広げようとしている。順番に見ているうちに、マツダというメーカーがいかにデザインに真剣かが伝わってきます。1959年にデザイン部門を設立して以来、ただ走るだけでなく「美しい形」を追い求めてきた会社。それが自転車やソファにまで及んでいる。


この時点で、もうかなり満足していました。広島、濃いなと思ったんです。




02 呉に行ったら、潜水艦が想像以上だった


午後は呉へ向かいました。てつのくじら館です。


ここに展示されているのが、実物潜水艦の「あきしお」。名前は知っていました。写真も見たことがあります。なので、まあ大きいんだろうな、くらいには思っていました。


甘かったです。


街の中に突然、あきしおがある。全長76.2m。


でかい。想像の倍くらいでかい。


しかも、ただ大きいだけじゃない。異物感がすごいんです。


これ、たぶん潜水艦って普段、全体を見ないからなんですよね。海にいる時は一部分しか見えない。全部が見える前提の存在じゃない。それが、街の中に丸ごとある。


そりゃ変です。


ビルが大きい、とは違う。船が大きい、とも少し違う。潜水艦という、本来は海の中にいるものが、街の中で全身を見せている。そのこと自体がまず強い。あきしおは、その「なんだこれ」が非常に強かったです。


陸上に展示されたあきしお。内部見学は国内唯一の施設。


しかも、てつのくじら館のいちばんいいところは、外から見て終わりじゃないことです。中に入れる。これがすごくよかった。


外から見ている時は、ひたすら大きくて、黒くて、無口で、「すごい物体だな」という感じなんです。でも中に入ると、急に「人が使っていた機械」になる。通路の幅。設備の密度。区切られた空間。外では圧倒的に物体だったものが、中に入ると急に人間のサイズになる。この切り替わりが面白かったです。


てつのくじら館から少し離れた場所に、潜水艦桟橋があります。現役の潜水艦が何隻も停泊していました。動いているものもいる。


潜水艦桟橋。現役の潜水艦が何隻も停泊している。


さっきまであきしおで「潜水艦ってこういうものか」と理解したところに、現役のやつが普通に並んでいる。1隻だけでも十分なのに、普通に複数いる。


ドアミラー越しに見ても潜水艦。でかい。(※停止中に撮影)


ドアミラー越しに見ても潜水艦。海沿いへ行っても潜水艦。桟橋の標識にも潜水艦。


呉、あまりにも呉でした。




03 広島を見たことで、翌日の見え方も少し変わった


今回、広島をちゃんと回ったのは実は初めてでした。


仕事で行くと、どうしても会場とホテルの往復だけで終わりがちです。でも今回は前日に動いたことで、広島ってこういう町なんだな、という感覚がかなり強く残りました。


マツダでは、水と港と工場が近い。呉では、海の中にいるはずのものが街の中にある。どちらも、観光地を見たというより、その土地の産業の輪郭がそのまま見えてくる感じがありました。


そういう前日を過ごしてから、翌日ポタフェスの会場に入ると、ただ「地方でイベントに出展した」という感じでは少しなくなります。ちゃんと広島に来たんだな、という感覚が残っていたからです。




04 そして翌日、ポタフェス広島へ


3月21日の会場は、広島県立広島産業会館 西展示館 第2展示場。

Iida Pianoとしては広島初出展でした。


ブースでは、ArcTec Berlin「AB 92」、PMG Audio「Apx ME」、Camerton、KuraDa、NTS Audio、Soranik、Ambient Acousticsを展示しました。


開場直後から来場者の流れが途切れなかった。


Iida Pianoブース。白を基調に、製品が主役になる展示。


今回あらためて感じたのは、広島では届け方に二つの意味がある、ということでした。


ひとつは、その場で初めて知っていただくこと。もうひとつは、すでに知ってはいたけれど、なかなか試聴の機会がなかった方に、実際に聴いていただくことです。


今回の広島では、その両方がありました。


東京のイベントだと、情報も試聴機会も比較的集まりやすいですが、地方ではそうはいかないことも多い。知ってはいる。気にもなっている。でも、実際に聴ける場がない。そういう距離はやはりあるのだと思います。


だからこそ、持って行く意味がある。


新しく知ってもらうためだけではなく、すでに届きかけていたものを、実際の体験として届かせるために出展する。その大事さを、今回あらためて感じました。


ArcTec Berlin — AB 92

3月20日に受注開始となったばかりの新製品で、今回は西日本で初めて試聴できる機会でもありました。実際にお聴きいただくと、「想像と違った」という反応が印象に残りました。事前に抱いていた印象と、実際に耳にした音の方向性が違った、という驚きです。


「静けさと解像度が同時にある」という感想も印象的でした。情報量があるのに、うるさくない。細かい音が見えるのに、神経質な方向へ寄らない。試聴された方がそのポイントを短い言葉で捉えてくださると、やはり嬉しいものです。


PMG Audio — Apx ME

定価121万円です。大都市以外ではなかなか試聴機会を作れない製品ですが、今回広島でも展示しました。聴いてみたかった、という方が多くいらっしゃいました。そしてみなさん、感動してくださいました。値段は別にして。


買える買えないという話は、もちろんあります。でも121万円の音を体験してもらうことには、それとは別の意味があると思っています。これはコンセプトの提示に近い。こういう音がある、ということを知ってもらうこと自体が大事で、それは大都市だけでやっていればいいわけではない。


広島でこの音を届けられたことは、今回の出展でいちばん良かったことのひとつです。


NTS Audio

ONE、TWO、THREEの全3モデルを展示しました。


Iida Pianoが扱う製品の中では手に届きやすい価格帯で、それぞれ音のキャラクターが明確に異なります。試聴していただくと、好みのモデルがはっきり分かれるのが面白い。「自分はこれだ」という反応が出やすい製品です。


装着性に感銘を受けてくれる方も多く、音の前にまず「これ、すごく収まりがいい」という声をよく聞きました。


試聴してくださった方にはステッカーをお渡ししました。小さいことですが、ブースを覚えていてもらえるきっかけになればと思っています。




05 出展しに行ったのに、広島そのものが残った


イベントを終えて振り返ると、もちろんポタフェス広島はいい出展でした。広島で初めてIida Pianoのブースを出せたこと。AB 92やApx MEにしっかり反応をいただけたこと。初めて知ってくださった方にも、知っていたけれど試聴の機会がなかった方にも、きちんと届けられたこと。どれも、ちゃんと意味のある一日でした。


でも今回は、それだけでは終わりませんでした。


ポタフェスに出展しに広島へ行ったはずなのに、振り返るとまず浮かぶのは、マツダ本社から延々と敷地の中を走ったバスのことだったり、東洋大橋を渡った時のことだったり、呉で見た潜水艦のことだったりします。


広島が強かったんです。


だから今回は、出展レポートでありながら、広島をあらためて見た記録にもなりました。そしてそのことが、結果的に「地方へ持って行く意味」まで、少しはっきりさせてくれた気がします。



かなりいい広島でした。



帰りも10時間かけて車で戻りました。三島に着いたのは朝5時。それでも、いい遠征でした。



ご来場いただいた皆さま、そしてポタフェスを主催するe☆イヤホンの皆さまに御礼申し上げます。


日程

2026年3月21日(土)11:00〜17:00

会場

広島県立広島産業会館 西展示館 第2展示場


〒732-0816 広島県広島市南区比治山本町16-31

入場

無料・事前登録不要

主催

e☆イヤホン


References

  1. 「第59回マツダ駅伝大会」開催について(東洋大橋:全長約560m、高低差約25m)/MAZDA NEWSROOM(マツダ株式会社公式)

  2. 東洋大橋/Wikipedia「東洋大橋」

  3. いつの時代もチャレンジすることを恐れないマツダスピリッツの原点/YouTube(マツダ公式)

  4. マツダデザインの歴史(MAZDA DESIGN HERITAGE)/マツダ株式会社公式

  5. あきしお展示室について/海上自衛隊呉史料館(公式)

  6. アレイからすこじま(日本で唯一、間近で潜水艦を見ることができる場所)/呉市公式ホームページ

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