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製品一覧
About
Soltanus Acoustics|ブランド概要

■ 基本情報
ブランド名:Soltanus Acoustics(ソルタナス・アコースティクス)
設立年:2012年
本拠地:ハンガリー・ソルトヴァッケルト
創業者 : Zoltán Mikovity(ゾルターン・ミコヴィティ)
主な製品:静電型スピーカー、静電型ヘッドホン(Euridicheシリーズ)
対象ユーザー:ハイエンドオーディオファン、サウンドエンジニア、プロオーディオユーザー
■ ブランドの歴史と背景
Soltanus Acoustics(ソルタナス・アコースティクス)は、静電型スピーカーおよび静電型ヘッドホンの分野で世界的に注目を集めるハンガリー発のオーディオブランド です。その始まりは2012年、創業者であるZoltán Mikovity(ゾルターン・ミコヴィティ)氏が、長年の研究と開発の成果を世に問うべく立ち上げた工房にあります。
Mikovity氏は、25年以上にわたって静電型スピーカーの設計に取り組んできたエンジニアであり職人です。彼のオーディオに対する情熱は、単なる技術探求を超え、「音楽が本来持つ“感情の力”を、いかにして忠実に再現できるか」という一点に集約されています。ブランド名「Soltanus」は、彼の名前「Zoltán」をラテン語風にアレンジしたもので、個人の信念と美学がそのままブランド名に込められています。
Soltanusの出発点は、極めて小さなものでした。地元の投資家による支援を受けながら、わずか10名ほどのスタッフとともに開発された初の製品は、世界初のクロスオーバーを排した2ウェイ静電スピーカー「Virtuoso」。これは、音質の純粋性と位相の整合性を極限まで追求した、非常に先鋭的なコンセプトに基づいて設計されたもので、当時のオーディオ業界に強い衝撃を与えました。Mikovity氏が愛してやまなかった名機「Quad ESL-57」を現代的に再構成し、その限界を乗り越えることを目指したモデルでもありました。
ブランドの理念は一貫して「妥協のない音響設計」です。スピーカーの時代から、Soltanusの製品には一切のクロスオーバー回路が存在せず、単一ドライバーで全帯域を再生する設計思想が徹底されています。これにより、音の連続性や空間再現性において、極めて自然でストレスのない聴き心地を実現しています。
そして2019年、Soltanusはこれまで蓄積してきた技術と哲学を新たな領域であるヘッドホンへと展開しました。それが、初の静電型ヘッドホンシリーズ「Euridiche(ユーリディケー)」です。Mikovity氏は、「ヘッドホンはスピーカーに比べて構造が簡単であると捉えるのではなく、むしろスピーカーと同じ、あるいはそれ以上の空間表現と情報量を求めるべきだ」と考えました。
Euridicheシリーズの開発には、数年にわたる研究とフィールドテストが費やされ、3機種(Euridiche, Euridiche 3D, Euridiche Minima)が同時に発表されました。特に注目すべきは、従来の静 電型ヘッドホンの弱点とされた「低音の量感の不足」や「音像の平板さ」といった問題に対して、大胆な固定電極構造の再設計と大型ダイアフラムの採用によって、明確な解決を打ち出したことです。
Soltanusの製品は、単に高音質であるだけでなく、製品としての佇まいにも一貫した美学が宿っています。3Dプリンティング技術を活用したユニークなハウジング形状、職人による手縫いのイタリアンレザー、再生可能なバイオポリマーの採用など、伝統と革新、環境配慮と機能性が高い次元で融合しています。
また、Mikovity氏は「私が生きている限り、私の製品に責任を持つ」と公言しており、顧客との長期的な関係性、修理可能な構造、交換部品の提供といった“信頼される工房”としての哲学を大切にしています。ヘッドホンのダイアフラムはユーザー自身で交換可能で、予備パーツも同梱されるなど、長年使い続けられることを前提とした設計が徹底されています。
現在では、Soltanus Acousticsは欧州を中心に世界20か国以上に展開し、静電型スピーカーおよびヘッドホンの世界において、“孤高のクラフトマン・ブランド”として高く評価されています。
■ 設計思想と技術的特徴
設計思想
Soltanus Acousticsは、「完璧な音」(The Sound of Perfection)を目指すという理念のもと、エレクトロスタティック方式による理想的な音の再現を追求しています。Zoltán氏が長年蓄積してきたスピーカー開発のノウハウを活かし、ヘッドホンという小空間においても“スピーカーのように自然な音像・音場”を実現しようという明確なビジョンを持っています。
技術的特徴
静電型フルレンジドライバー(104mm):超大型のダイアフラムを採用し、フルレンジ帯域(超低域〜40kHz超)をシングルユニットで再生。クロスオーバーや多ドライバー構成による位相ずれが生じない自然な音を実現。
セグメント型固定電極構造:高域・中低域を独立したゾーンで駆動することで、定位感と音場の広がりを大幅に向上。
エアフロー固定電極:耳に届く音の流れを整えるために、空気の通り道を最適化した特殊な形状のパーツを採用。飛行機の翼のような断面を持つフィン(羽根)が、音波の乱れや余計な反射を抑え、音がより滑らかで自然に広がるよう設計されています。
調整機構:高域可変スイッチ、サブベース用バスレフポート(Euridiche L-SX)などにより、ユーザーの好みやシステム構成に応じたチューニングが可能。
3Dプリント+生分解素材の採用:固定電極フレームやハウジング部は、高強度で軽量な生分解性バイオポリマーで3Dプリント。環境負荷の少ない構造と、複雑形状の自由設計を両立。
メンテナンス性:静電膜はモジュール構造となっており、ユーザー自身で交換可能。
純正アンプおよびエナジャイザーの提供:純正エナジャイザーの「Mezzoforte」や、トランス式ドライバーもラインナップ。互換規格で他社アンプとの使用も可能。
■ 海外での評価
2015年のSalon Son & Image(カナダ)でスピーカーが複数のベストサウンド賞を受賞し、2020年代以降はEuridicheシリーズが欧州のオーディオイベント(ブダペスト、CanJamロンドンなど)でも高評価を獲得。他社製静電型ヘッドホンのフラッグシップ機に匹敵する解像度や立体音場、豊かな低域表現が専門家や愛好家から絶賛され、欧州・北米を中心に展開を拡大する中、日本市場においても、今後の展開が大いに期待される注目ブランドです。
