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2022年11月15日

【特集記事】新しいフラッグシップモデルRS8とこれまでの系譜を辿る

2022年11月、HiBy Music は新しいフラッグシップ ポータブル デジタル オーディオ プレーヤー、HiBy RS8を世に送り出します。

その集大成とも言える新しいフラッグシップモデルとともに、これまでのHiBy DAPを振り返ってみましょう。


■HiByの誕生

2011年に創業したHiBy.

HiBy最初の製品はハードウェアではなく、音楽再生ソフトウェア「HiByMusic アプリ」として産声を上げました。



もともとHiByは数多くのDAPメーカーにOSを供給するソフトウェアベンダーでしたが、ある時から自社製のハードウェアを手掛けることを志します。



■HiBy R6/R3 ~第一歩を踏み出す~

2017年に初めての自社製DAP、「R6」がクラウドファンディングによって生み出されます。

このR6はオーディオユーザーから高い評価とともに受け入れられ、このあとのHiByの方向性を決定づけるものとなりました。



R6で一定の評価を得たHiByは、続いて「R3」と呼ばれる小型DAPをリリース。このR3は現在まで形状を変えることなく、最新モデルに進化し続けるベストセラーシリーズとなります。



この2機種の成功のおかげで、HiByはDAPブランドとして不動の地位を築き上げていくこととなります。



■HiBy R6Pro ~よりホットなオーディオへ~

HiByは創業当時より「使い易さ」を意識してユーザーフレンドリなシステムUIとハードウェアを手掛けてきました。最初のモデルである「R6」や「R3」は、UIの使いやすさや汎用性の高いコネクティビティで多くのユーザーから好評でした。

そんな中で、もっとオーディオ的にこだわりを持った製品を望むお客様がいたのも事実です。

こうしたニーズを受けて誕生したのが、HiByとして初めてのオーディオ的なこだわりを発揮した「R6Pro」です。



R6でも搭載していたバランス出力ですが、その端子はR6の2.5mmから変更され、当時出たばかりであった4.4mmの大型端子を採用。これは信頼性の向上とともに接地面積の観点から音質の向上も見込まれました。さらにアンプ回路へはMUSES8920オペアンプやELNAシルミックコンデンサなどの贅沢なパーツが惜しげもなく投入され、HiByの得意とする豊かな音場表現が可能となりました。

このR6ProからHiByのアンプ回路へのこだわりが始まったと言えるでしょう。



■HiBy R5シリーズ ~ユーザビリティへのこだわり~

オーディオ的なこだわりを追求すると、どうしても大きく重く、そして高価になりがちです。

「R5」はオーディオ的なこだわりは残しつつ、コンパクトでもっと気軽に音楽を楽しめる機材として誕生しました。



4.4バランス出力搭載DAPとしては当時最小クラスを実現し、アンプ部へのパーツへのこだわりを残しながら小さなサイズを実現するために、基板へのパーツ実装やボディの設計に苦心しながら設計されました。

これまでのHiByDAPでは音への正確性と音場にフォーカスした音作りがなされていましたが、R5ではよりカジュアルに音楽を楽しむことを念頭に音作りがなされ、日本のポップスにもマッチした音質とそのコンパクトな外観は多くのユーザーの心をつかみました。

R5はその後「R5Saber」へとモデルチェンジを行い、HiByのエントリークラスAndroidDAPとして幅広いユーザーに愛される存在となります。



■HiBy R8 ~Rシリーズの最高峰~

すべての制約を取り除いたDAPはどんなものになるだろう?

そんな夢を形にしたのが、まさに「R8」と言えるでしょう。

HiBy初めてのAKM製DACチップ「AK4497」を採用し、これを完璧に駆動させるための強力な電源部を初めて採用。



独自のカスタマイズが施された10,000mAhものバッテリーを搭載し、システム部、DAC部、プリアンプ部、パワーアンプ部へ独立給電される仕組みを採用しています。

また、ターボモードを搭載した初めてのHiByDAPでもあります。

これは、ターボモードをONとすることでパワーアンプ部に供給される電圧を上げ、通常12Wの出力から16Wまで引き上げるという強大なものでした。



これまでの曲線を基調とした愛らしいデザインから、直線的でモダンなデザインへと生まれ変わりました。このデザイン言語は最新のHiBy DAPへも引き継がれています。



■New HiBy R6 ~HiBy第2世代へ~

デザイン・ソフトウェア・ハードウェア、全てが一新され、第2世代として生まれ変わったのが「New HiBy R6」です。



初代R6が持っていた使いやすさはそのまま継承し、最新のDACチップとSoC、そしてR6ProやR5、そしてR8で培ったアンプ設計及び電源設計をふんだんに盛り込まれて作られています。

New R6はHiByの中核を為すDAPとして、まさに全部入りのハイスペックDAPでありながら、コストパフォーマンスに優れたDAPです。



新しいデザイン哲学はR8から継続して採用され、これまでのR6のイメージを一新し、新しい顧客層を獲得するに至りました。



■HiBy RS6 ~RSシリーズの誕生、新しい挑戦へ~

DAPを開発していく中で、HiByは一つの壁にぶつかります。DAPの設計において、DACチップの存在を抜きに語ることはできないでしょう。大手半導体メーカーがリリースする最新DACチップはとてつもない高性能を発揮する一方、その仕組は複雑なものとなりもはや各オーディオメーカーが独自に調整する余地はなくなっていました。

さらなる追い打ちとして、大手半導体メーカーの工場火災に加え世界的なコロナウイルスの猛威による世界的な半導体不足が引き起こされ、DACチップを必要数入手することすら困難な状況に陥りました。

これらを受けて、HiByは大胆な決定をすることになります。

「自分たちのハードウェアを追求する」

これは元来ソフトウェアを手掛けるだけであったHiByが、自分たちの理想とする製品を世に送り出すために1からDAPを作りあげる決意を固めたことを考えると必然の流れだったのかもしれません。

こうしてHiByはDAC部分すらも自社での設計に乗り出しました。



誕生したのは「Darwin Architecture」

ディスクリートR2RDACを核とする信号処理構造です。Darwin Architectureの名称が指すのは単にR2RDACのことではなく、デジタルフィルター切り替え機構やOS/NOSの切り替え機構、さらにはLFPでのDSDネイティブデコードなどのソフトウェアまで含めた複合的な信号処理設計の総称として名付けられています。この仕組にDarwin の名前が与えられたのは、この構造を進化させ発展させていくHiByの決意のあらわれです。


Darwin Architecture搭載機種の第一号として「RS6」がリリースされました。



これはNew R6をベースとして、DAC部分をDarwin Architectureに換装されたもので、これに合わせプリアンプ部にはNJW1195A電子制御ラダー抵抗ボリュームを採用、パワー部にもOPA1622を採用するなどNew R6とは大幅に異なるオーディオ回路を持ち、シャシー素材にも純銅が採用されるなど、結果的に共用となるのはSoC部とボディ形状のみとなる大胆な構造変更でした。



このHiByの挑戦は大成功に終わり、RS6はその音質が多くのユーザーの心を射止め、高額なDAPながら非常に多くのお客様に支持される結果となりました。



■HiBy R5Gen2

Darwin Architectureという形でハードウェアの追求に舵を切ったHiByの次なる目標はアンプでした。

R6Proからアンプへの物量投入を開始したHiByは、「R5Gen2」でついにディスクリートアンプを投入。



それもコンパクトなボディという制約がありながら、フルA級動作のプッシュプルディスクリートアンプを設計・搭載したのです。

市場ではスマートフォン+ドングルDAC/AMPが盛り上がる中、「DAPにしか無い魅力とは何か?」を考えました。

HiByが出した答えの一つとして「ハードウェアの追求」、そんな具現化がR5Gen2といえるでしょう。

A級アンプはその優れた性能と引き換えに電力効率が非常に悪い事で知られています。HiByは持ち前のソフトウェア開発能力を駆使して、画期的な仕組みである「A級アンプ動作モード」を実装。



これはA級アンプ動作をOFFにしている際はDACチップ内蔵のアンプICを使用して、非常に低消費電力で音楽を楽しむことを実現した機能です。物量投入しながらもユーザビリティを損なわない機能としてまとめ上げるのは、HiByのポリシーと言えるでしょう。



■RS2

RS6の大成功のあと、基本的なアンプ回路はそのままに、極めてシンプルなミュージックプレーヤーとして「RS2」は誕生しました。

まるでハイレゾプレーヤー黎明期のような外観は、古くからDAPを愛好しているユーザーからは懐かしさともに好意的に受け入れられました。



しかしそんな見た目とは裏腹に、小さなボディの中にはRS6と同等のDarwin Architectureが搭載され、純粋な高音質プレーヤーとして素晴らしいポテンシャルを秘めています。

無線機能を一切持たず割り切った機能のRS2はTWSも使えず、音楽ストリーミングサービスを使うこともできませんが、今後長い時間をともにする”いい道具”として、いい音を愛するユーザーに受け入れられています。



■RS8

これまでの製品を振り返り、それぞれの製品で「オーディオへの探求」と「HiByらしさ」を一歩づつ培ってたことをご理解いただけたかと思います。

そして今回、満を持して登場する「RS8」 は「HiByのすべての力を組み合わせる」という旗の下で、これまでのすべての研究開発、そのすべてのリソース、すべての高度なテクノロジーを具現化した RS8は、あらゆるイヤホン・ヘッドホンが最高の性能を引き出すことを目指したデバイスです。



そんなRS8のこれまでの製品から継承された要素と特徴をピックアップして解説します。


・デザイン

RS8のデザインは第2世代のデザイン言語を継承しており、おなじみのHiByファミリーの直線的なモダンデザインはひと目見ただけでHiByのDAPだとおわかりいただけるでしょう。



素材には新たに純チタンが与えらました。CNC を介して 1 つのチタンの塊から19 時間かけて形成され、その大胆なラインが浮かび上がります。


・Darwin Architecture

RSを冠するその名前が示すように、RS8にはもちろんDarwin Architectureが搭載されています。



RS8に搭載される最新の「 Darwin II Architecture」は、究極のダイナミックレンジと過渡応答を追求するために12 個の高速電子スイッチと 184 個の高精度抵抗で構成されており、DSD1024 / PCM1536までのフォーマットに対応。 


・アンプ回路

RS8 にはこれまで培ったアンプ回路への物量投入の一つの到達点に達しました。これらはR8やR6Proなどの流れを組み、4つElna SILMIC 2 シルクファイバーコンデンサー、47個の大容量タンタルコンデンサー、および 10 個の Panasonic製 POSCAP。



更にR5gen2で初めて投入されたA級ヘッドフォンアンプもより物量を投入された上で継承しています。RS8のA級アンプ部は2個のOPA1652オペアンプ + 8個の NXPデュアル バイポーラトランジスタで構成されています。



更に、R5Gen2がそうであったように、RS8でもアンプの切り替え機構を搭載。「A級アンプ」と「AB級アンプ」の動作切り替えが可能となり、音の好みや電力効率によってボタン一つで切り替える事が可能です。


・バッテリー+電源回路

R8ではDACの性能をフルに発揮するために、10000mAhもの大容量バッテリーを搭載し、更に独立した電源供給を可能とする電源部を設計・搭載しました。

この電源を更に強化したRS8 は、12000mAh ものバッテリーを備えています。



さらに、SoC、DAC、プリアンプ、パワーアンプの各セクションに完全に独立して電力を供給します。パワー段は、2 つの低リップルDC/DCトランスと 6 つの高出力インダクタによって電力を供給され、ヘッドフォン出力に独立して電力を供給します。プリアンプ段へは DC/DC ステップアップ トランスと 7 +/- LDO によって電力を供給され、左右のチャンネルに別々に電力を供給します。R2R DAC へは、DC/DC ステップアップトランスと 2 つの超低リップル LDO によって電力を供給され、左右のチャンネルに別々に電力を供給します。




・ターボモード

RS8 はターボ モードも継承しています。

これもR8で初めて搭載された機構で、ターボモードをオンにすると、ハードウェア上でアンプのバイアス電圧を25%増加し、より高いダイナミック レンジと駆動力が得らる仕組みです。



これにより大型のヘッドホンや低能率なIEMでも、余裕のある音楽再生が可能です。


・純銅製サブフレーム

HiByではこれまでアルミニウムかステンレススチールを好んで採用してきました。ところがRS6では新しい試みとしてボディに「純銅」を採用。これは音質的にも大きな成果がある大胆な挑戦でした。



RS8ではボディに純チタンを採用しているものの、サブシャーシとして純銅製のバッテリーフレームが装備されており、R2RDACやA級アンプの放熱設計にRS6の知見が生かされています。






これらRS8の特徴のすべては過去の製品で積み上げてきた成果の集大成であり、そのどれもが大きな意味を持つ大事な要素です。



これまでHiByを愛用して頂いているお客様、そしてまだHiByを使ったことのないお客様も、HiByの歩んできた技術の成果であるRS8を、ぜひお試しください。



>>HiBy RS8製品紹介ページ




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